腸腰筋(ちょうようきん)が使えると様々な不調が改善する!?腸腰筋に Switch on!

カラダの中で、上半身と下半身を繋ぐ唯一の筋肉である腸腰筋ちょうようきんは、腰部〜股関節を構成する大腿骨に繋がるため、腰痛や股関節痛、骨盤周囲の不調やトラブルの原因になっている事が多い筋肉です。そんな腸腰筋をご紹介します。

腸腰筋とは

腸腰筋は、1つの筋肉を指しているのではなく、大腰筋だいようきん小腰筋しょうようきん腸骨筋ちょうこつきんをまとめて『腸腰筋』と言います。

大腰筋は背骨の下部から股関節の内側、小腰筋は背骨の下部から骨盤付近、腸骨筋は骨盤の内側から股関節内側についており、上半身と下半身を繋ぐ唯一の筋肉です。

腸腰筋の基礎

腸腰筋は、腰椎から大腿骨までを繋ぐ筋肉です。1つの筋肉を指すのではなく大腰筋、小腰筋、腸骨筋をまとめて腸腰筋と総称しています。小腰筋に関しては、退化してほとんど存在していない方もいる様です。

腸腰筋は腹腔の後ろ側、カラダの深い部分にあるため深層筋(インナーマッスル)とも呼ばれます。

※筋肉の骨に付く部位を起始・停止と表現します。

・大腰筋
起始
 浅層→第12胸椎から第1〜4腰椎の椎体および椎間板の側面
 深層→第1〜5腰椎の肋骨突起
停止:大腿骨の小転子
作用:股関節屈曲および回旋、片側収縮で体幹側屈、
   両側収縮で背臥位から体幹を起こす
支配神経:大腿神経および腰神経叢の枝(T12〜L4)

腸骨筋
起始:腸骨窩
停止:大腿骨の小転子
作用:股関節屈曲
支配神経:腰神経叢の筋枝L1〜L4

小腰筋
起始:第12胸椎と第1腰椎およびその椎間板
停止:恥骨筋線、腸恥隆起
作用
支配神経:腰神経叢


腸腰筋は、重力に抗う抗重力筋の一つです。

腰椎をS字状に維持し直立位(立ち姿勢)をきれいな姿勢に保ちます。

歩行・走る動作の時には、足や膝を持ち上げる(股関節の屈曲)働きがあり、下半身が固定されているときには体幹を起こすこともできます。

また、股関節を固定する働きがあるため、体幹や身体のバランスを取る筋肉でもあり、日常生活での姿勢にとても関わっています。

走る、跳ぶなどといった動作時で足を強く引き上げる能力に関連が深く、運動・スポーツの分野でも腸腰筋は重要な役割を果たしています。赤ちゃん期のハイハイの動作や、雑巾掛けレースなどの動作は腸腰筋の発達には効果的と言われています。

歩く動作を分析した歩行周期(ほこうしゅうき)

私たちが臨床の現場で考える運動学の分野では、歩行周期といって歩行時の筋肉の活動を分析したものがあります。

歩行周期とは、一方の足が地面に接地した時点から同じ側の足が再度接地するまでを一歩と定義して、その一歩にかかる時間を100%と考えます。
そしてその一歩は、立脚期(IC〜PSw)遊脚期(ISw〜TSw)に大きく分類され、さらに上図のように細分化されていきます。立脚期は「足が地面についている時間」、遊脚期は「足が地面から離れている時間」のことです。

ICInitial Contact初期接地衝撃吸収の準備
LRLoading Response荷重応答期衝撃吸収
MStMid Stance立脚中期支持足の前足部までの荷重
TStTerminal Stance立脚後(終)期支持足より前方で身体を運ぶ
PSwPre Swing前遊脚期遊脚期の準備
ISwInitial Swing遊脚初期路面から足を離して前方へ運ぶ
MSwMid Swing遊脚中期路面と足の間隔を確保して前方へ運ぶ
TSwTerminal Swing遊脚後(終)期足を前方へ運ぶ動作を終了
※ランチョ・ロス・アミーゴ方式:世界で最も歩行研究に精通した施設である、ロサンゼルスにあるランチョ・ロス・アミーゴ国立リハビリテーションセンター(Rancho Los Amigos National Rehabilitation Center)で採用されている方式を引用

歩く動作での大腰筋

歩行の動作において、腸腰筋全体では足底離地の前にはじまり遊脚初期まで筋活動が続く(立脚期後半〜遊脚期前半)ことがわかっています。

しかし、歩く動作の大腰筋と腸骨筋の活動パターンは異なるとされています。

大腰筋は、1歩行周期の中で筋活動が高まる時期が2回あり、左右下肢の接地のタイミング付近とされています。

大腰筋の椎体部付近は、股関節屈曲作用を有することから、立脚期中期〜後期に下肢をすばやく前方に振り出す役割と遊脚期後期に股関節を屈曲して脚を大きく一歩前へ踏み出す役割をもつと考えられています。

大腰筋の横突部付近は、体幹伸展作用を有することから、立脚期中期〜後期に股関節の伸展中に身体を安定させるとともに、体幹伸展により腰部をすばやく前方に移動させる役割をもつと考えられています。

歩く動作での腸骨筋

歩行の動作において、腸腰筋全体では足底離地の前にはじまり遊脚初期まで筋活動が続く(立脚期後半〜遊脚期前半)ことがわかっています。

しかし、歩く動作の大腰筋と腸骨筋の活動パターンは異なるとされています。

腸骨筋は、主に遊脚初期に筋活動が高まり、歩行速度や走行速度を速める役割で活躍します。その他、常に姿勢制御股関節を安定させる役割を持つとされています。

腸腰筋のストレッチ

腸骨筋のストレッチをご紹介します。ストレッチは筋肉の起始・停止がわかれば、難しくはありません。起始・停止が離れればストレッチになります。

片膝をついた状態から股関節を伸展するストレッチです。図のような体勢で、片方60秒キープしてみましょう。フラフラとバランスが不安定になるのを制御しようと反応すると思います。ストレッチをしながら腸腰筋の活動量を活性化させましょう。

まとめ

腸骨筋は骨盤と大腿骨を繋いでおり、人体の中で唯一、上半身と下半身を繋いでいる筋肉です。

腸腰筋は3つの筋肉の総称です。大腰筋、小腰筋、腸骨筋です。

腸腰筋は、主に3つの働きがあります。

・足を引き上げる動作、股関節を屈曲させる働き
・腰椎をS字型に安定させ重力に対して姿勢を保つ抗重力筋としての働き
・骨盤の位置を安定させる働き、など

歩く動作分析では、ランチョ・ロス・アミーゴ方式において筋肉別の活動分析をする事ができます。細かな分析によると大腰筋と腸骨筋では、その活動パターンが若干異なります。

歩く、走る、足を踏ん張るなどほとんどの運動やスポーツの動作に関わっています。日常生活では姿勢を維持する働きで腸腰筋は重要な役割を果たしているのです。

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タカハシ岩手県出身 35歳 
栄養学を学んだら体重−15kgのダイエットに成功!!整形外科での職務経験を活かし、盛岡市で整体と栄養学をコンセプトに運営中。主にカラダのこと、栄養のことについて確かな情報収集をまとめたブログサイトです。岩手から全国に健康をお届けします。