
椎間板ヘルニアによる背中の痛みは、日常生活に大きな影響を与え、その原因を知りたいと強く感じていませんか?この記事では、「椎間板ヘルニア 背中の痛み 原因」というあなたの疑問に対し、その痛みがなぜ起こるのか、そのメカニズムから根本的なリスク要因までを徹底的に解明します。背中の痛みは、神経の圧迫、炎症、そして周囲の筋肉への影響が複雑に絡み合って発生します。さらに、日々の姿勢や加齢も深く関わっていることを理解することで、痛みの理解を深め、適切な対処への第一歩を踏み出す手助けとなります。
1. 椎間板ヘルニアと背中の痛み その深い関係性

背中の痛みは、多くの方が経験する一般的な不調の一つですが、その原因は多岐にわたります。中でも椎間板ヘルニアは、背中の痛みの深刻な原因となり得る病態として、その深い関係性を理解することが非常に重要です。
私たちの背骨は、たくさんの骨が積み重なって構成されており、その骨と骨の間には、椎間板と呼ばれるクッション材が存在しています。この椎間板は、日常の動作や運動時に生じる衝撃を吸収し、背骨の柔軟な動きを可能にする、まさに体の土台を支える大切な役割を担っています。しかし、様々な要因によってこの椎間板に異常が生じ、内部の髄核が本来の位置から飛び出してしまうことがあります。この状態が椎間板ヘルニアです。
飛び出した椎間板の一部が、すぐ近くを通る神経に触れたり、強く圧迫したりすることで、背中の中心部や片側の背中に、鋭い痛みや重だるさ、時にはしびれといった不快な症状を引き起こします。この神経への刺激が、椎間板ヘルニアによる背中の痛みの主な原因となるのです。
椎間板ヘルニアが引き起こす背中の痛みは、単なる筋肉の張りや疲労によるものとは異なり、特定の姿勢をとった時や、咳やくしゃみ、排便時に痛みが強まるといった特徴を持つことがあります。また、痛みだけでなく、背中からお尻、さらには足にかけて、電気が走るような感覚や、感覚が鈍くなるようなしびれを伴うことも少なくありません。これらの症状は、日常生活の質を大きく低下させ、心身に大きな負担をかけることになります。
このように、椎間板ヘルニアは背中の痛みと密接な関係にあり、そのメカニズムを正しく理解することは、ご自身の症状に対する適切な対処法を見つけるための第一歩となります。背中の痛みに悩む多くの方が、ご自身の症状が椎間板ヘルニアと関連している可能性を深く認識し、この後の章でさらに詳しく解説する原因や対処法へと進んでいただくきっかけとなれば幸いです。
2. 椎間板ヘルニアとは何か 基礎知識を学ぶ

背中の痛みに悩む多くの方にとって、「椎間板ヘルニア」という言葉は耳にすることがあるかもしれません。しかし、具体的にどのような状態を指し、なぜ痛みを引き起こすのか、その基礎を深く理解することは、ご自身の身体の状態を知る上で非常に重要です。ここでは、椎間板ヘルニアのメカニズムを解明するために、まずその土台となる椎間板の構造と役割、そしてヘルニアがどのように発生するのかを詳しく見ていきましょう。
2.1 椎間板の構造と役割
私たちの背骨、つまり脊椎は、椎骨と呼ばれる小さな骨が積み重なってできています。この椎骨と椎骨の間に存在するのが、「椎間板」と呼ばれるクッション材です。椎間板は、脊椎の柔軟性を保ち、身体を動かす上で非常に重要な役割を担っています。
椎間板は、大きく分けて二つの部分から構成されています。中心にあるのは、ゼリー状の柔らかい組織である「髄核(ずいかく)」です。この髄核が、衝撃を吸収する主要な役割を果たします。そして、この髄核をドーナツ状に包み込んでいるのが、強靭な線維でできた「線維輪(せんいりん)」です。線維輪は、髄核が飛び出さないようにしっかりと囲い込み、安定性を保っています。
椎間板の主な役割は以下の通りです。
役割 | 詳細 |
衝撃吸収 | 歩行や走行、ジャンプなど、日常生活で脊椎にかかる様々な衝撃を和らげ、脳や脊髄へのダメージを防ぎます。 |
脊椎の柔軟性 | 椎骨同士が直接ぶつかることなく、脊椎が前後に曲がったり、左右にねじれたりする動きを可能にします。 |
荷重分散 | 体重や外部からの負荷を均等に分散させ、特定の椎骨に過度な負担がかかるのを防ぎます。 |
このように、椎間板は私たちの脊椎がスムーズに機能し、日常の動作を快適に行う上で不可欠な存在なのです。
2.2 ヘルニアが発生するメカニズム
では、この重要な椎間板に「ヘルニア」が起こるとは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。ヘルニアとは、「体内の臓器や組織が、本来あるべき場所から逸脱した状態」を意味する言葉です。椎間板ヘルニアの場合、これは椎間板の髄核が線維輪を突き破り、脊髄や神経根が通るスペースに飛び出してしまうことを指します。
ヘルニアが発生するメカニズムは、主に以下のような段階を経て進行することが多いです。
まず、椎間板を構成する線維輪に、微細な損傷や亀裂が生じることがきっかけとなります。これは、加齢による椎間板の変性(老化)や、繰り返される不適切な姿勢、重いものの持ち上げ方、急激な負荷などが原因で起こりえます。線維輪は弾力性がありますが、これらの要因によって徐々にその強度が失われていくのです。
線維輪に亀裂が入ると、内部の髄核は、その亀裂部分から外側へと押し出されようとします。髄核はゼリー状であるため、圧力によって容易に形を変え、弱い部分へと移動しようとする性質があります。最終的に、線維輪の損傷が進行し、髄核が完全に線維輪を突き破って、外へと飛び出してしまいます。この飛び出した髄核が、「ヘルニア」と呼ばれる状態です。
飛び出した髄核が、すぐ近くを通っている脊髄やそこから枝分かれしている神経根を圧迫することで、背中の痛みやしびれ、さらには筋力低下などの様々な症状が引き起こされるのです。この神経圧迫が、椎間板ヘルニアによる背中の痛みの直接的な原因となります。また、飛び出した髄核自体が炎症反応を引き起こし、それが痛みを増幅させることもあります。
このように、椎間板ヘルニアは、椎間板の構造が破綻し、内部の髄核が飛び出すことで、神経組織に影響を及ぼす状態であると理解することができます。
3. 椎間板ヘルニアが背中の痛みを引き起こす直接的な原因

椎間板ヘルニアによって背中に痛みが生じるのは、主に飛び出した椎間板組織が周囲の神経や組織に影響を与えるためです。ここでは、その直接的なメカニズムについて詳しく解説していきます。
3.1 神経圧迫による痛みと症状
椎間板ヘルニアで飛び出した髄核(ずいかく)は、すぐ近くを通る神経を圧迫することがあります。この神経への圧迫が、背中の痛みの最も主要な原因の一つです。神経が圧迫されると、電気的な刺激が阻害されたり、神経そのものが炎症を起こしたりして、痛みやしびれなどの症状が現れます。
椎間板ヘルニアによる神経圧迫は、以下のような症状を引き起こすことがあります。
症状の種類 | 特徴 |
痛み | 電気が走るような鋭い痛み、ズキズキとした痛み、重だるい痛みなど、多様な痛みが背中だけでなく、お尻や足にも広がる場合があります。 |
しびれ | ピリピリ、ジンジンとした感覚異常で、触覚が鈍くなることもあります。 |
感覚異常 | 皮膚の感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりすることがあります。 |
筋力低下 | 足に力が入らない、つまずきやすいなどの症状が現れることがあります。 |
3.1.1 坐骨神経痛との関連
椎間板ヘルニアによる神経圧迫が、坐骨神経(ざこつしんけい)と呼ばれる大きな神経に影響を及ぼすと、いわゆる坐骨神経痛が発生します。坐骨神経は、腰からお尻、太ももの裏側、ふくらはぎ、足先へと続く長い神経です。この神経が圧迫されると、背中の痛みだけでなく、その走行に沿ってお尻や足にかけて痛みやしびれが広がることがあります。これが、椎間板ヘルニアで背中だけでなく下肢にも症状が出る理由です。
3.1.2 脊髄神経根の炎症
椎間板ヘルニアによる神経圧迫は、単に物理的な圧迫だけでなく、脊髄神経根(せきずいしんけいこん)と呼ばれる神経の根本部分に炎症を引き起こすことがあります。ヘルニアで飛び出した椎間板組織そのものや、損傷した椎間板から放出される化学物質が神経根を刺激し、炎症反応を誘発するのです。この炎症が痛みをさらに強くしたり、持続させたりする要因となります。
3.2 炎症反応と関連する痛み
椎間板ヘルニアでは、神経圧迫だけでなく、椎間板組織の損傷そのものや、そこから漏れ出した髄核が周囲の組織に炎症反応を引き起こすことがあります。髄核は本来、無菌状態の椎間板内部にあるものですが、外部に漏れ出すと体はこれを異物と認識し、免疫反応として炎症を起こすことがあります。
この炎症によって放出される化学物質が、神経終末を刺激し、痛みとして感じられるのです。神経圧迫がなくても、炎症反応だけでも背中の痛みが生じることがあり、痛みの質や感じ方も人によって異なります。
3.3 周囲の筋肉への影響と二次的な痛み
椎間板ヘルニアによる背中の痛みは、直接的な神経圧迫や炎症反応だけでなく、周囲の筋肉にも影響を及ぼし、二次的な痛みを引き起こすことがあります。痛みを感じると、私たちの体は無意識のうちにその部分をかばおうとして、背中や腰の筋肉が過度に緊張してしまいます。
筋肉の緊張が続くと、血行が悪くなり、疲労物質が蓄積されやすくなります。これにより、筋肉自体が硬くなり、こりやだるさ、そして新たな痛みとして感じられることがあります。この筋肉の緊張は、痛みの悪循環を生み出し、椎間板ヘルニアによる背中の痛みをさらに複雑にする要因となるのです。
4. 椎間板ヘルニアの背中の痛みを招く根本的な原因とリスク要因

椎間板ヘルニアによる背中の痛みは、単一の原因で発生するわけではありません。日常生活の習慣、体の変化、遺伝的な要素、そして突発的な出来事など、様々な要因が複合的に作用し、椎間板に負担をかけ、ヘルニアの発症リスクを高めています。ここでは、その根本的な原因と、背中の痛みに繋がりやすいリスク要因について詳しく解説いたします。
4.1 日常生活における姿勢と負担
私たちの日常生活における姿勢や動作は、椎間板に大きな影響を与えます。特に、不適切な姿勢や習慣的な動作は、椎間板に過度な負担をかけ、ヘルニア発症のリスクを高める主要な原因の一つです。
例えば、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、無意識のうちに猫背や前かがみの姿勢を誘発しがちです。このような姿勢は、背骨の自然なS字カーブを崩し、椎間板の一部に偏った圧力を集中させてしまいます。また、重いものを持ち上げる際に腰をかがめて持ち上げたり、急に体をひねったりする動作も、椎間板に瞬間的な強い負荷をかけることになります。
以下に、椎間板に負担をかけやすい具体的な姿勢と動作、そしてその影響をまとめました。
姿勢・動作の例 | 椎間板への影響 | リスク |
長時間の猫背(デスクワーク、スマートフォン操作など) | 椎間板の前方に圧力がかかり、後方への突出を促します。 | 背中上部から腰にかけての椎間板ヘルニアリスクが高まります。 |
腰を丸めた座り方 | 腰椎の椎間板に大きな圧力が持続的にかかります。 | 腰部の椎間板ヘルニア、特に坐骨神経痛の原因となることがあります。 |
重いものを持ち上げる際の不適切な動作(膝を曲げず腰から持ち上げる) | 瞬間的に椎間板に強いせん断力や圧迫力がかかります。 | 急性的な椎間板の損傷やヘルニアの突出を引き起こす可能性があります。 |
長時間の立ち仕事や運転 | 同じ姿勢が続くことで、椎間板への血流が悪化し、栄養供給が滞ることがあります。 | 椎間板の変性を早め、ヘルニアのリスクを高める可能性があります。 |
急激な体のひねり動作(スポーツ、日常生活での振り返りなど) | 椎間板に不均等な力が加わり、線維輪の損傷を引き起こすことがあります。 | 椎間板の亀裂やヘルニアの突出に繋がりやすいです。 |
これらの習慣的な負担は、椎間板の線維輪を徐々に弱らせ、内部の髄核が突出するきっかけを作ってしまうのです。
4.2 加齢による椎間板の変化
加齢は、椎間板ヘルニアの発生に大きく関わる自然な要因です。年齢を重ねるにつれて、椎間板には様々な変化が生じます。最も顕著なのは、椎間板を構成する髄核の水分量が減少することです。
若い頃の椎間板は、水分を豊富に含み、弾力性に富んでいます。これにより、背骨にかかる衝撃を効果的に吸収し、クッションのような役割を果たしています。しかし、加齢とともに髄核の水分は失われ、椎間板全体の弾力性が低下します。例えるなら、みずみずしいゼリーが乾燥して硬くなるような状態です。
この弾力性の低下は、椎間板の衝撃吸収能力を弱め、外部からの小さな負荷でも損傷しやすくなります。また、椎間板を包む線維輪も、加齢とともに柔軟性を失い、亀裂が入りやすくなります。このような変性が進行すると、内部の髄核が少しの圧力で外側に突出する「ヘルニア」が起こりやすくなるのです。背中の痛みは、こうした椎間板の変性が進行した結果として現れることが多くあります。
4.3 遺伝的要因と体質
椎間板ヘルニアの発症には、遺伝的な要因や個人の体質も関与していると考えられています。具体的には、家族に椎間板ヘルニアの経験がある場合、ご自身も発症しやすい傾向にあることが指摘されています。
これは、椎間板の構造的な脆弱性や、椎間板を構成するコラーゲンなどの結合組織の質が、遺伝によって受け継がれる可能性があるためです。例えば、生まれつき椎間板の線維輪が薄かったり、髄核の水分保持能力が低かったりする体質の場合、他の人よりも少ない負担でヘルニアが発生しやすいかもしれません。また、椎間板の変性が早期から進行しやすい体質の方もいらっしゃいます。
遺伝的要因は、私たちが変えることのできない部分ですが、ご自身の家族歴を把握し、他のリスク要因(姿勢や生活習慣など)に特に注意を払うことで、発症リスクを低減する努力はできます。
4.4 外傷や急激な負荷
椎間板ヘルニアは、一度の強い外傷や急激な負荷によっても引き起こされることがあります。例えば、スポーツ中の激しい衝突や転倒、交通事故などによる強い衝撃は、椎間板に直接的なダメージを与え、線維輪を破裂させて髄核が突出する原因となります。
また、日常生活においても、不意の急激な動作が椎間板に大きな負担をかけることがあります。具体的には、重いものを持ち上げる際に体勢を崩したり、急に体をひねったり、高いところから飛び降りたりする際の衝撃などが挙げられます。これらの動作は、瞬間的に椎間板に過度な圧迫力やせん断力を集中させ、線維輪に亀裂を生じさせたり、既存の亀裂を広げたりして、ヘルニアの突出を招くことがあります。
さらに、一度の大きな外傷だけでなく、特定のスポーツや職業で繰り返される微細な負荷も、徐々に椎間板を弱らせ、最終的にヘルニアの発症に繋がることがあります。例えば、腰に負担のかかる作業を日常的に行う方や、ジャンプや着地を繰り返すスポーツ選手などは、椎間板に慢性的なストレスがかかりやすく、ヘルニアのリスクが高まる傾向にあります。
5. 背中の痛みが椎間板ヘルニア以外で起こる可能性

椎間板ヘルニアが背中の痛みの原因として広く知られていますが、実は背中の痛みは多岐にわたる原因で引き起こされることがあります。ご自身の痛みが椎間板ヘルニアによるものと断定できない場合や、一般的なヘルニアの症状と異なる場合は、他の可能性も考慮に入れることが大切です。ここでは、椎間板ヘルニア以外で背中の痛みを引き起こす主な原因について詳しく解説します。
5.1 筋肉や骨格の問題
背骨やその周辺の筋肉、関節に問題が生じることで、背中の痛みが現れることがあります。これらは椎間板ヘルニアと症状が似ている場合もあり、正確な判断が重要になります。
5.1.1 具体的な筋肉の問題
背中には多くの筋肉があり、日常生活での姿勢の悪さや、過度な負担、運動不足、ストレスなどによって筋肉が緊張し、痛みを引き起こすことがあります。
- 筋膜性疼痛症候群:筋肉を覆う筋膜に炎症やしこり(トリガーポイント)が生じ、関連する部位に痛みやこわばりを感じる状態です。背中の特定の部位に強い圧痛があることが特徴です。
- 姿勢の悪さによる筋肉の緊張:長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、前かがみの姿勢が続くことで、背中や肩の筋肉に持続的な負担がかかり、慢性的な痛みやこりを引き起こします。
- 運動不足や急な運動:筋肉が十分に鍛えられていない状態で急な運動をしたり、逆に運動不足で筋肉が衰えたりすることで、背中の筋肉に負担がかかり、痛みが生じることがあります。
5.1.2 具体的な骨格の問題
背骨そのものや、背骨を構成する椎骨や椎間関節に異常が生じることで、背中の痛みが現れることがあります。
- 脊柱管狭窄症:加齢などにより、脊髄が通る脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることで痛みやしびれが生じます。特に歩行時に症状が悪化し、前かがみになると楽になる「間欠性跛行」が特徴です。
- 脊椎分離症・すべり症:椎骨の一部が分離したり、椎骨がずれてしまうことで、背骨の安定性が失われ、神経が刺激されて痛みが生じることがあります。特に腰を反らせる動作で痛みが強くなる傾向があります。
- 脊柱側弯症:背骨が横方向に曲がってしまう状態で、筋肉のバランスが崩れたり、神経が圧迫されたりすることで背中の痛みを引き起こすことがあります。
- 椎間関節症:椎骨と椎骨の間にある椎間関節に炎症が起きたり、軟骨がすり減ったりすることで、背中の特定の部位に痛みが生じます。体をひねったり、反らしたりする動作で痛みが増すことがあります。
- 骨粗しょう症による圧迫骨折:骨がもろくなる骨粗しょう症が進行すると、転倒などの軽い衝撃だけでなく、日常生活の動作でも背骨が潰れるように骨折(圧迫骨折)することがあり、強い背中の痛みを引き起こします。
5.2 内臓疾患による関連痛
背中の痛みの中には、内臓の病気が原因で引き起こされる「関連痛」と呼ばれるものもあります。内臓の痛みは、脳がその痛みを体表の特定の部位として認識することがあり、背中に痛みを感じるケースがあります。これらの痛みは、体勢を変えても痛みが軽減しない、安静にしていても痛む、発熱や吐き気など他の症状を伴うといった特徴が見られます。
関連する臓器 | 痛みの特徴 | 痛む場所 | 伴う可能性のある症状 |
腎臓・尿路系(腎盂腎炎、尿路結石など) | ズキズキとした痛み、または激しい差し込むような痛み | 主に腰から背中の脇腹にかけて | 発熱、排尿時の痛み、血尿、吐き気 |
膵臓(膵炎など) | みぞおちから背中にかけての痛み、食後に悪化しやすい | 背中の中央、特に左側 | 吐き気、嘔吐、腹痛、発熱 |
胃・十二指腸(胃潰瘍、十二指腸潰瘍など) | 鈍い痛み、焼け付くような痛み、空腹時や食後に悪化 | 背中の中央、特に胃の裏側あたり | みぞおちの痛み、吐き気、食欲不振 |
肝臓・胆嚢(胆石症、胆嚢炎など) | 右の肩甲骨の下や背中、みぞおちから右脇腹にかけての痛み、食後に悪化 | 右の背中、肩甲骨の下あたり | 吐き気、嘔吐、発熱、黄疸 |
心臓(狭心症、心筋梗塞など) | 締め付けられるような痛み、圧迫感 | 左の背中、肩、腕への放散痛、胸の痛み | 息切れ、冷や汗、動悸 |
大動脈(大動脈解離など) | 突然発症する引き裂かれるような激しい痛み | 背中の中央から腰、胸にかけて | 冷や汗、意識障害、血圧の左右差 |
婦人科系(子宮内膜症、子宮筋腫など) | 生理周期に連動した痛み、慢性的な腰や背中の痛み | 腰から背中、下腹部にかけて | 生理痛の悪化、不正出血、不妊 |
6. 正確な診断の重要性と治療への第一歩

背中の痛みは、日常生活に大きな支障をきたし、不安を増大させるものです。特に椎間板ヘルニアが疑われる場合、その痛みの原因を正確に特定することが、適切な対処への第一歩となります。自己判断や根拠のない情報に頼ることは、症状の悪化を招く可能性があり、大変危険です。専門的な知識を持つ機関での診断を通じて、ご自身の体の状態を正しく理解し、それに基づいた治療計画を立てることが何よりも重要です。
6.1 医療機関での検査と診断方法
椎間板ヘルニアによる背中の痛みを診断するためには、専門的な検査が不可欠です。問診や身体診察に加え、画像診断を組み合わせることで、痛みの原因を詳細に特定し、他の疾患との鑑別を行います。これにより、一人ひとりの状態に合わせた最適な治療方針を導き出すことができます。
主な検査方法とその内容は以下の通りです。
検査方法 | 内容 | 目的・特徴 |
問診 | 症状の始まり、痛みの性質(鋭い、鈍いなど)、強さ、頻度、悪化する動作や楽になる姿勢、既往歴、生活習慣などを詳しくお伺いします。 | 患者様の訴えから、痛みの原因や椎間板ヘルニアの可能性を探ります。詳細な情報が診断の手がかりとなります。 |
身体診察 | 背中や腰の触診、姿勢の確認、関節の可動域の評価、そして神経学的検査を行います。神経学的検査では、筋力、感覚(しびれや麻痺の有無)、腱反射などを確認し、神経の圧迫や損傷の有無を調べます。 | 神経のどの部分が影響を受けているか、筋肉の状態はどうかなど、身体的な所見から痛みの原因を絞り込みます。 |
レントゲン検査 | X線を用いて、背骨(脊椎)全体の骨の構造を撮影します。 | 骨の変形、骨折、脊椎の配列異常、椎間板腔の狭小化などを確認できます。椎間板ヘルニア自体は直接写りませんが、他の骨疾患との鑑別や、脊椎全体のバランスを評価する上で重要な情報となります。 |
MRI検査(磁気共鳴画像法) | 強力な磁石と電波を用いて、体の内部を様々な角度から詳細に画像化します。 | 椎間板ヘルニアの診断に最も有効な検査です。椎間板の突出や膨隆の程度、神経根や脊髄への圧迫の有無、炎症の範囲などを鮮明に確認することができます。軟部組織の状態を詳細に把握できるため、痛みの直接的な原因を特定する上で非常に重要です。 |
CT検査(コンピュータ断層撮影) | X線を多方向から照射し、コンピューターで処理して体の断面画像を生成します。 | MRIが適用できない場合や、骨の詳細な評価が必要な場合に用いられることがあります。骨の構造や石灰化の有無などを確認するのに優れていますが、椎間板や神経などの軟部組織の描出はMRIほどではありません。 |
これらの検査を総合的に判断することで、背中の痛みが椎間板ヘルニアによるものか、それとも他の原因によるものかを明確にし、適切な次のステップへと進むことができます。
6.2 早期発見と適切な治療の選択
椎間板ヘルニアによる背中の痛みは、放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、早期に正確な診断を受けることが非常に重要です。早期発見は、以下のような多くのメリットをもたらします。
- 症状の悪化や慢性化を防ぎ、痛みが長期化するリスクを軽減します。
- 保存療法(手術以外の治療法)で改善する可能性が高まります。
- 早期に適切な対応を始めることで、日常生活への影響を最小限に抑え、生活の質(QOL)を維持・向上させることができます。
診断が確定した後は、その結果に基づいてご自身の状態に最も適した治療方法を選択することが求められます。治療の選択肢は多岐にわたりますが、一般的にはまず安静や薬物療法、物理療法、運動療法などの保存療法が検討されます。これらの治療法は、痛みを和らげ、椎間板への負担を軽減し、自然治癒力を高めることを目的としています。
万が一、保存療法で十分な改善が見られない場合や、神経症状が進行している重症例では、手術療法が選択肢となることもあります。しかし、どの治療法が最適であるかは、椎間板ヘルニアのタイプ、症状の重さ、患者様の年齢や活動レベルなど、様々な要因によって異なります。専門家と十分に相談し、ご自身の状態を理解した上で、納得のいく治療計画を立てることが、回復への大切な一歩となります。
7. まとめ
椎間板ヘルニアによる背中の痛みは、神経の圧迫や炎症、そして周囲の筋肉への影響など、多岐にわたる要因が複雑に絡み合って生じます。日頃の姿勢の悪さや加齢による椎間板の変化、遺伝的な体質、さらには外傷や急激な負荷といった要素が、その根本的な原因となることも少なくありません。しかし、背中の痛みは椎間板ヘルニア以外にも様々な可能性が考えられるため、自己判断は避けるべきです。症状を感じたら、まずは専門の医療機関を受診し、正確な診断を受けることが何よりも重要となります。早期に原因を特定し、適切な治療へと進むことが、つらい背中の痛みからの解放への確かな第一歩となるでしょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
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店舗名よつば整骨院/よつば整体院
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