ビタミンA(レチノール)にSwitch on!

ビタミンAは脂溶性ビタミンに属するため過剰な摂取に気をつけなくてはなりません。

その主な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。また、薄暗いところでも視力を保つ働きなどあります。そんなビタミンAについてご紹介致します。

ビタミンAとは

ビタミンAとは、水に溶けにくく、油脂に溶けやすい【脂溶性ビタミン】でレバーやうなぎ、バター、マーガリン、チーズ、卵、緑黄色野菜などに多く含まれています。

レチノール・レチナール・レチノイン酸の総称で、α(アルファ)-カロテン、β(ベータ)クリプトキサンチン、β(ベータ)-カロテンは、摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンAと呼ばれ、ビタミンAの前駆体となります。

栄養素がどのくらい含まれるかとういう表示の際は『レチノール活性当量』RAE(ビタミンAのとしての効力)として表します。

ビタミンAの吸収と働き

ビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。また、レチノールは、視細胞での光刺激反応に関与するロドプシンという物資の合成に必要なため、薄暗いところで視力を保つ働きもあります。他にも鼻や喉の粘膜の保護といった、たくさんの重要な役割を持っています。

プロビタミンAであるカロテンにはβ(ベータ)型の他にα(アルファ)型、γ(ガンマ)型、クリプトキサンチンなどがありますが、ビタミンAの効果が最も高いのはβ-カロテンです。とはいっても、β-カロテンもすべてがビタミンAに変換されるわけではなく、吸収効率やビタミンAへの変換率を考慮すると、β-カロテンはレチノールの6分の1程度の効力に相当するといわれています。

ビタミンAの1日の摂取基準量

ビタミンAの摂取基準には、レチノールだけでなくビタミンAの前駆体すべて合わせて、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。

レチノール活性当量(㎍RAE)=レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(㎍)×1/24

レチノール活性当量は上記の式で求めます。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)によると下記のようなデータになります。

● 男性

年齢等推定平均必要量b推奨量b目安量c耐容上限量c
0~5(月)300600
6~11(月)400600
1~2(歳)300400600
3~5(歳)350450700
6~7(歳)300400950
8~9(歳)3505001,200
10~11(歳)4506001,500
12~14(歳)5508002,100
15~17(歳)6509002,500
18~29(歳)6008502,700
30~49(歳)6509002,700
50~64(歳)6509002,700
65~74(歳)6008502,700
75以上(歳)5508002,700

● 女性

年齢等推定平均必要量b推奨量b目安量c耐容上限量c
0~5(月)300600
6~11(月)400600
1~2(歳)250350600
3~5(歳)350500850
6~7(歳)3004001,200
8~9(歳)3505001,500
10~11(歳)4006001,900
12~14(歳)5007002,500
15~17(歳)5006502,800
18~29(歳)4506502,700
30~49(歳)5007002,700
50~64(歳)5007002,700
65~74(歳)5007002,700
75以上(歳)4506502,700
妊婦初期+0+0
妊婦中期+0+0
妊婦後期+60+80
授乳婦+300+450
  1. レチノール活性当量(㎍RAE)=レチノール(㎍)+β-カロテン(㎍)×1/12+α-カロテン(㎍)×1/24+β-クリプトキサンチン(㎍)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(㎍)×1/24
  2. プロビタミンAカロテノイドを含む。
  3. プロビタミンAカロテノイドを含まない。
  • 推定平均必要量:半数の人が必要量を満たす量。
  • 推奨量:ほとんどの人が必要量を満たす量。
  • 目安量:一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
  • 耐容上限量:過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量。

 日本人のビタミンAの一日の平均摂取量は令和元年国民健康・栄養調査による534.1㎍(レチノール活性当量)でした。食品群別の摂取量で見ると、野菜類(緑黄色野菜)からの摂取量が最も多く、次いで肉類、卵類、乳類の順に多く摂取されています。

ビタミンAの不足と過剰症

ビタミンAが不足すると暗順応障害が起こり薄暗いところでものが見にくくなり、起こりうる疾患のリスクとしては夜盲症やもうしょうになります。また、角膜や結膜上皮が乾燥し、角質化するほか、皮膚や粘膜でも、乾燥、肥厚、角質化が起こります。小児の場合は成長が停止する場合もあります。

脂溶性ビタミンであるため、過剰摂取は体内に蓄積されるので注意が必要です。ビタミンA過剰症の症状として、頭痛が特徴的であるほか、急性の過剰症としては脳脊髄液圧の上昇や、慢性的な過剰症として、頭蓋内圧亢進症や皮膚のはげ落ち、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状が見られることが知られています。特に動物性のビタミンAが過剰になると、肝機能の異常や症状が現れ、命にかかわる場合もあります。

ビタミンAの過剰症は通常の食事ではほとんど起こりませんが、サプリメントを利用したり、する際は用法や用量を確認しましょう。また、ビタミンAを特に多く含むレバーやうなぎなどを過剰に食べたりする際は注意しましょう。

β-カロテンからのビタミンAへの変換は、不足した時などに必要に応じて厳密に調節されているため、β-カロテンによるビタミンAの過剰症は起こらないとされています。

【妊婦さん】妊娠中のビタミンAについて

妊娠中のビタミンAを研究した国際的な研究結果では、ビタミンAの投与により夜盲症のリスクを軽減し、ビタミンAがもともと欠乏している集団やHIV陽性の集団では貧血を減少させた。というデータや、ビタミンAの投与により母体の感染症の予防につながることが南アフリカ、ネパール、インドネシア、タンザニア、英国の研究の統合結果から示唆されました。

しかし、現在の日本では摂取不足はあまり心配がなく、主に発展途上国での摂取不足が問題となっている。妊娠中の妊婦さんは、ビタミンAの過剰摂取による『催奇形成さいきけいせい』などの報告もあるため、妊娠初期は特に配慮する必要があります。

ほんとうに確かなことから考える妊娠・出産の話 コクランレビューからひもとく

 森 臨太郎 / 森 享子

ビタミンAを多く含む食べ物 

食品に含まれる成分は、文部科学省の食品成分データベースを参考に引用いたします。

ビタミンA レチノール活性当量 : お肉、魚類 Top 10(100gあたりμg)

順位食品名成分量 100gあたりμg
1(動物油脂類)/たらのあぶら37000
2ぶた/スモークレバー17000
3にわとり/とりレバー(生)14000
4ぶたレバー(生)13000
5あんこう/きも(生)8300
6やつめうなぎ(生)8200
7あゆの内臓(焼き)6000
8鮎の内臓(生)4400
8うなぎのきも(生)4400
10ぶたのレバー(ペースト)4300

レチノール活性当量 : 野菜類  Top 10

順位食品名成分量 100gあたりμg
1とうがらし(乾)1500
2にんじん/根/冷凍/油いため1100
3にんじん/根/冷凍/ゆで1000
3にんじん/根/皮なし/油いため1000
5にんじん/根/冷凍920
6しそ/葉/生880
6にんじん/グラッセ880
8モロヘイヤ/茎葉/生840
9にんじん/根/皮なし/ゆで730
10にんじん/根/皮/生720
10にんじん/根/皮つき/生720
  • • 指定した成分量の同値があるため、指定した数より多くの食品を表示しています
  • 成分量の単位 μg は100万分の1グラムを表します

まとめ

ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、水に溶けず、油脂に溶けやすい性質を持ちます。

ビタミンAは体内で、レチノール・レチナール・レチノイン酸の総称で、α(アルファ)-カロテン、β(ベータ)クリプトキサンチン、β(ベータ)-カロテンは、摂取すると、小腸上皮細胞でビタミンAに変換されるのでプロビタミンAと呼ばれ、ビタミンAの前駆体となります。

ビタミンAの重要な働きには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。また、薄暗いところで視力を保つ働きもあります。他にも鼻や喉の粘膜の保護といった、たくさんの重要な役割を持っています。

ビタミンAを豊富に含む食品には、鶏レバーや豚レバー、アンコウの肝、うなぎ等があります。緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、プロビタミンAと呼ばれ、体内でビタミンAとして働きます。とうがらしや人参に多く含まれます。

ビタミンAはこれらの働きで、私たちのカラダを作ったり、リスクから守ったりしているわけです。『カラダは食べたものでできている』ので、目の不調や免疫力などで不調を感じている方は、これらの栄養素が関連しているかもしれません。

ビタミンAを摂りすぎると過剰症が起こる可能性もあり、サプリメントの使用には注意が必要です。バランスの良い食事を心がけながら、効率よくビタミンAを摂取することが大切です。

それでも前述で述べたような、気になる不調や症状が改善しない場合は、早めに医療機関で医師の診察を受けるようにしてください。

【参考引用】日本人の食事摂取基準(2020年版)

【参考引用】食品成分データベース

【参考引用】NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全

【参考引用】ほんとうに確かなことから考える妊娠・出産の話 コクランレビューからひもとく

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タカハシ岩手県出身 35歳 
栄養学を学んだら体重−15kgのダイエットに成功!!整形外科での職務経験を活かし、盛岡市で整体と栄養学をコンセプトに運営中。主にカラダのこと、栄養のことについて確かな情報収集をまとめたブログサイトです。岩手から全国に健康をお届けします。