10~15歳の運動、スポーツしている方で膝の前側が痛くなり『しゃがめない』、『走れない』、『ジャンプ出来ない』などの場合は、オスグット病の可能性があります。
膝が痛くて好きなスポーツが思うように出来ない。大会が近いのに練習できない。友達と遊びたいのに膝が痛くて遊べない。膝が痛くて体育の授業を受けれない。…など成長期の限られた期間ですので、やりたいことが出来ないと焦ってしまったり、悔いが残ってしまう方も少なくありません。
今回は、成長期に多いオスグット病を解説していきます。
オスグット病について
10〜15歳になると部活などで膝の負担が増す方が多いと思います。成長期と言われるこの年齢はまだ骨が柔らかく、その負担に耐えられず発症します。
その負担というのが筋肉の付着部になる骨への負担のことです。
オスグット病の痛みのメカニズム
❶ 運動の度に膝の前側『脛骨粗面』の骨が『大腿四頭筋』という筋肉からなる『膝蓋靭帯』に引っ張られます。
❷ 次第に脛骨粗面といわれる付着部に隆起が起こります。状態が悪いと、骨の限界を超えてはがれ始めます。
この状態がオスグット病の痛みの正体です。
成長痛
成長痛と言われるものであれば、2〜14歳の幼児期から思春期で起こります。その中でも、特に3〜6歳の子供に多い症状で運動とは関係なく発症します。
オスグット病は、前述のメカニズムのように筋肉・靱帯や骨の運動と一致した痛みになります。痛みは関節全体ではなく、脛骨粗面の膝の前だけに限局して起こります。
運動やスポーツの動作による一連の痛みになるので、それを安静にして休んで様子を見れば、一時的に痛みが落ち着いていきます。痛みの強い時ほど安静にする事は大事です。
しかし、その膝の前(脛骨粗面)になぜ負荷がかかるようになってしまったか、原因を考え、改善させないと、またすぐに痛みを繰り返すこのになるのです。
「成長痛なので様子見て」とよく耳にする事が多いのではないでしょうか。それだけでは改善しにくいでのす。
脛骨粗面は発育過程において弱いところ
整形外科学では、脛骨粗面部の発育過程は4期に分類されています。
- The cartilaginous stage:骨化核の出現前(10才以前)
- The apophyseal stage:舌状部に骨化核が出現する時期(10~11才頃)
- The epiphyseal stage:脛骨結節の骨化が脛骨骨端に癒合しているが、脛骨結節の表層は軟骨で覆われている(13~15才頃)
- The bony stage:骨端線閉鎖(18才頃)
オスグット病には脛骨粗面の発育過程が大きく関わっております。柔らかい子供の骨から大人の骨へと置き換わるまでの脛骨粗面の骨化過程です。
① 脛骨近位骨端部が前方へ発達し、脛骨粗面部の二次性骨化核と言われるものが出現します。
② 脛骨近位の骨端核と癒合して舌状突起というものを形成します。
③ その後、両方の骨端核が癒合して骨化が完成します。
柔らかい子供の骨から大人の骨へと置き換わるまでの18歳ころまでは、この部分が成長するポイントで弱いために痛みや症状が出やすいのです。
オスグット病のチェックリスト
- 膝の前が痛い、押すと痛い
- 走ったりると膝が痛い
- 膝を曲げると痛いため正座、しゃがむと痛い
- 自転車をこぐと痛い
- 練習中や練習後に痛くなる
- 階段の上りで痛い
- ジャンプをする瞬間、または着地の際に痛い
- 学校のテスト期間など、数日運動を休むと楽になる
※これらが当てはまるとオスグット病の可能性があります。
オスグット病になりやすいスポーツ競技 5選
- サッカー
- 野球
- バスケットボール
- バレーボール
- テニス
※当院では陸上競技が上位に入ります。
ストレッチや柔軟性のポイント 5選
筋肉や関節の柔軟性はやはり効果的です。
- 腰の高さの背骨(腰椎)の柔軟性(反ったり丸めたり)
- 太ももの裏(ハムストリングス)の柔軟性(前屈の動作)
- 股関節の柔軟性(前回しと後ろ回し)
- ふくらはぎ(後側)の柔軟性(足首の引き上げる背屈動作)
- 足の裏の柔軟性(竹踏みゴルフボールなど)
※太ももの前、大腿四頭筋の柔軟性は特に大事です。しかし、ストレッチのやり方によって痛みを助長する可能性がかなり高いため、ここではあえて含みません。
改善されるまでの期間
オスグット病は早期に発見できれば安静と原因の改善で比較的短期間で済みます。進行した場合(安静時も痛い)は改善されるまでの期間がかかります。
早期なら平均4週間の施術とセルフケアで改善されることが多いです。進行してしまうと2〜3ヶ月かかることもあります。
安静のみで何も行わなかった場合や柔軟性のポイントが改善していない場合は、痛みや症状が残り続けることが多いです。
脛骨粗面剥離骨折
中々改善せず無理をし過ぎてしまった。
進行してしまうと、剥離骨折を起こしている場合もあります。運動ストレスが膝蓋靱帯付着部の脛骨粗面に集中し、脛骨結節の骨化核および硝子軟骨が部分的に剥離骨折を起こした状態です。
Watson-Jones(ワトソンジョーンズ)の分類で剥離骨折の程度を1〜3のタイプ別に判断します。
オスグット病(OSD)= 剥離骨折という医療従者の方も多くいらっしゃいます。
そして後遺症として膝の出っ張りが残存することがあります。大人になっても出っ張りは残り、まれに痛みを残す人もいます。
まとめ
オスグット病の痛みを抱えたままの運動やスポーツは、思うような成果が出にくいものです。メンバーになれなかったり、試合で負けてしまったり…。本人もご家族や周りの方もとても辛いです。
無理をするとかえって剥離骨折の長期化することもリスクです。他の部位のケガにつながることもあります。
まずは、安静の重要性を理解する必要があります。さらに安静だけでなく、痛みの起こるメカニズムを理解し、何が原因で余計に負荷がかかっているのかを考えると、ストレッチなどのセルフケアのポイントが明確になっていきます。
そんなオスグット病の施術が得意です。お困りの際は、ご相談ください。